淡い色に染まるとき。
面白い話も聞けて、彼の過去も少し知れて楽しかった。
だけど、メモ帳を使い過ぎてもう書けなくなってしまった。明日はどこかで紙を見つけなければならない。これでは会話が出来ないからだ。
「梓ちゃん、これよかったらあげるよ。枚数少ないから書くの大変だとは思うけど」
シンプルな小さいメモ帳を貰った。
ありがとうと伝えると彰さんは笑顔でどういたしましてと言った。
彼の笑顔と似ている、ちょっと照れた笑いをするんだ。
「お、もう21時になるな。そろそろ寝るか」
「いいねぇ、立派なパパになって」
「はいはい。ほら、梓。寝る時間だ」
彼と左手で手を繋いだら、彰さんも何故か右手を繋いできた。
見上げてみるとニコッと笑うだけだった。彼はまだ気付かずに進んでいく。
まぁ、いいかとギュッと手を掴んだ。
すると、彼が立ち止まって空を見上げた。
「月が綺麗だな」
月が綺麗…そういえば、国語で習った気がする。
『死んでもいいわ』
「梓っ、そんなこと言うもんじゃない」
少し怒ったように言われて、ちょっとだけ悲しかった。
「おいおい。梓ちゃんの言葉はそういう意味で言ったんじゃない。梓ちゃんは夏目漱石の言葉を理解して言ったんだもんな」
「夏目…漱石の言葉?」
彰さんは溜息を吐いて、彼の耳を引っ張った。
少し痛そうにしながらも何なんだと聞く彼。
「『月が綺麗ですね』『死んでもいいわ』。好きですって意味と私もですっていう意味だ」
「え?」
驚いたように私を見る。私はそういう意味だと思って言ったんだけど。
だけど、メモ帳を使い過ぎてもう書けなくなってしまった。明日はどこかで紙を見つけなければならない。これでは会話が出来ないからだ。
「梓ちゃん、これよかったらあげるよ。枚数少ないから書くの大変だとは思うけど」
シンプルな小さいメモ帳を貰った。
ありがとうと伝えると彰さんは笑顔でどういたしましてと言った。
彼の笑顔と似ている、ちょっと照れた笑いをするんだ。
「お、もう21時になるな。そろそろ寝るか」
「いいねぇ、立派なパパになって」
「はいはい。ほら、梓。寝る時間だ」
彼と左手で手を繋いだら、彰さんも何故か右手を繋いできた。
見上げてみるとニコッと笑うだけだった。彼はまだ気付かずに進んでいく。
まぁ、いいかとギュッと手を掴んだ。
すると、彼が立ち止まって空を見上げた。
「月が綺麗だな」
月が綺麗…そういえば、国語で習った気がする。
『死んでもいいわ』
「梓っ、そんなこと言うもんじゃない」
少し怒ったように言われて、ちょっとだけ悲しかった。
「おいおい。梓ちゃんの言葉はそういう意味で言ったんじゃない。梓ちゃんは夏目漱石の言葉を理解して言ったんだもんな」
「夏目…漱石の言葉?」
彰さんは溜息を吐いて、彼の耳を引っ張った。
少し痛そうにしながらも何なんだと聞く彼。
「『月が綺麗ですね』『死んでもいいわ』。好きですって意味と私もですっていう意味だ」
「え?」
驚いたように私を見る。私はそういう意味だと思って言ったんだけど。