淡い色に染まるとき。
休憩が終わると皆でその辺をお散歩することになった。

カメラを持って歩き出すと、ルーチェが嬉しそうに走り出す。きっと撮ってもらうことが好きなんだなぁ。

何枚かルーチェを撮って、お店を撮ったり、彼へのお土産を買って撮ったりした。


「本当に恭のことが好きなのねぇ」


お婆ちゃんが笑顔で頭を撫でてくれた。

大好きだよ、だって友達でお兄ちゃんでお父さんなんだもの。


彼から貰ったお小遣いを今まで貯めといたから、たくさん買える。

お菓子にしようかな、キーホルダーにしようかな、あげたいものはたくさんある。

友達にも勿論買うけど、まずは彼にあげたい。あれこれ考えても悩んでしまう。


「恭は梓からなら何貰っても嬉しいよ」


そうかな、そうだったらいいな。

お爺ちゃんも私にと、簪を買ってくれた。花びらがたくさんついていて、とても可愛い。


お婆ちゃんに挿してもらうと、可愛いわねと褒めてくれた。


それを挿して歩いているとすれ違う人達に可愛いと褒められた。


お爺ちゃんとお婆ちゃんと手を繋いで歩けば、親子だと思われているようで「素敵な家族ね」と言われていた。


お爺ちゃんとお婆ちゃんはまだまだ若々しい。綺麗で背も高くて親子と間違われても仕方ない。私も嬉しいけど、2人も顔を赤くして喜んでいた。


「梓ちゃん、お家に帰ったら何食べたい?」


『何でも食べるよ』


「もずくは嫌いなんだろ?恭が言ってたぞー」


『もずくあるの?』


「無いよ。俺達もあんまり食べないからなぁ」


良かった。でも、もし出されたとしても食べようと思ってたの。まだ会って2回目で我が儘なんて言っちゃいけないと思ってたから。


「オムライス?ハンバーグ?パスタ?何でも作るからね」


本当に何でもいいよ。作ってくれるだけで嬉しいから。

そう伝えると、たくさん作っちゃうわと笑った。


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