淡い色に染まるとき。
「梓ちゃん、いつも恭と作っているの?」


ごはんを食べながらお婆ちゃんが聞いてきた。そうだよ、いつも一緒に作っているよ。

お仕事で疲れているのに、私の為に色々してくれてるから私も役に立ちたくて。


『いつも美味しい料理作ってくれたり、お洗濯してくれたり、掃除してくれてるの』


「梓のお父さんなんだからそれくらい当たり前よ」


そうだね、私のもう1人のお父さんだ。

いつも傍にいてくれて、いつも守ってくれて。

2人に彼にしてもらったこと、彼に感謝していることを伝えた。勿論、2人にも感謝している。いくら息子の友達といえ、他人の子供を育てるだなんてきっと困ったはずだ。


それでも、育ててくれた彼に、受け入れてくれた2人に、私は伝えきれないほど感謝している。


すべて伝えると、2人は少しだけ泣いていた。お婆ちゃんは頭を撫でてくれて、お爺ちゃんは俯きながら頷いていた。


『ありがとう』


優しくしてくれて、本当の孫のように思ってくれて、本当にありがとう。


「ば、馬鹿言うんじゃねぇ。梓は俺達の孫だ」


「もう、あなたったら泣いて…」


「お前も泣いてるだろう」



ルーチェが吠えて、部屋の中を走り始めた。お婆ちゃんがルーチェを撫でながら涙を拭いていた。

お爺ちゃんは私を抱っこして、ありがとうと呟いた。


彼と同じ香りがして、何だかとても安心した。



温かい胸の中、幸せを感じていた。



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