淡い色に染まるとき。
話が終わった頃、私は何事もなかったように出てきた。

お婆ちゃんの顔がちょっとだけ悲しそうだった。それに気付かないフリをして近づいた。


『何かお手伝いすることない?』


「え…あ、あぁ。観光でもしようかしら」


「そうだな。梓、圭と一緒に観光してきなさい。俺達はちょっとやることがあってな」


彼に何か確認するんだろう。私は頷いて圭さんに近づいた。

圭さんはにっこり笑って私の手を引っ張った。


「今日は金閣寺とか清水寺にでも行こう。行ったことあるか?」


『ないよ』


「じゃあ、行こう」


お爺ちゃん達が険しい顔をしている。圭さんは無理矢理笑顔を作ってる。

何だか良くないことが起こっている、でも私が口を出していいのか分からない。


痛む胸を無視して私と圭さんは観光へと出かけた。


金閣寺、銀閣寺、清水寺で写真を撮ったり、お土産を買って過ごした。

圭さんが携帯で私を撮って彼に送ったりもした。彼からすぐに返事が来て、見せてもらうと可愛いなどと書いてあって、今朝の話はまだ知らないような感じだった。


お爺ちゃん達はまだ話をしていないのだろう。圭さんもそれを教えるようなことをしていない。


「…親バカなんだな」


ポツリと呟いた圭さんの安心したような顔。


「やっぱ、あれは嘘ってことか」


嘘?

どういうことなんだろう。

疑問と不安が心を支配する。嘘って何?


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