淡い色に染まるとき。
『教えてほしいの』


「何がだ?」


『由梨さんは、何を言ったの?』


驚いている圭さんの腕を掴んで聞いてみた。教えて、私も関係しているんでしょう?

私と彼と由梨さん。一体、何が起きているというの?


「…いや、聞かないほうがいい」


『どんな悪い話でも、私は聞きたいの』


どんな結果になろうとも聞いておきたい。



「…梓は兄貴のこと、好きか?」


いきなり何なんだろう。そんなことを何で?

大好きだよ、でもどうして?私は話を聞きたいの。


「兄貴が悩んでるって。由梨さんが…その、梓のことで悩んでる、しばらく1人になりたいって言ってるって。いや、嘘なんだってことはもう分かったし」


彼が1人になりたいって?

心臓が痛い。嘘か本当かなんて彼にしか分からない。

由梨さんが何でそんな酷い嘘を言うの?もしかして彼が相談したの?

何で、何で今頃、そんなこと。



「梓。落ち着け。違うんだ。多分、由梨さんがお前の事をよく思っていないだけで、こんな嘘を吐いてまで兄貴を手に入れたかったのかもしれない。ごめん、本当ならまだ小さいお前にこんな話したくなかった…」


ハッとして圭さんを見た。辛そうで泣きそうな感じがした。

ごめんなさい、勝手に色々考えて。私、もっとちゃんとしなきゃいけないのに。


『恭お兄ちゃんと話をしたい』


「…梓」


『メールしてくれない?』



彼は携帯を取り出して、私の伝えてほしいことを送ってもらった。


大丈夫。どんなことになろうとも、私はちゃんと受け止める。


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