淡い色に染まるとき。
すると、頬に小さな痛みが。

思わず彼を見てみると、涙目になりながら怒っていた。


頬を叩かれて驚いて彼を見ていると、強く抱きしめられた。


「必要とか、いらないとか、そんなこと言うな。お前は俺の娘なんだから」


震える声と体。だんだん頬が熱くなって、目も痛くなってきた。


「お前は俺の、大事な娘なんだ」


その言葉が欲しかったんだ。安心できる言葉が。

ありがとう、これで私の中の疑問と不安は消えたよ。


ゆっくりと目を閉じて何度も謝った。声は出ない、それでも彼には届いてる。そうでしょう?


声なんてなくとも、通じてる。どんな遠くにいてもちゃんと分かってる。


大きな手をしっかりと掴んだ。もう酷いこと言わないよ。離れたりしないよ。だって大好きなんだもの。


痛かった胸はもう痛くないの。今は何だか温かくてとてもいい気持ち。


もう何度も彼を悩ませ苦しませてしまっている。でも、これからはそんなことさせないから。



『ずっと一緒だよね』


「当たり前だろ」


『ずっとずっとだよ』



その後、私は彼から怒られて、お爺ちゃん達は圭さんに怒った。

私は二度と、あんなことを言わないと約束をした。圭さんは、子供にそんなこと言うもんじゃない!と怒られていた。

私のせいで怒られているんだ、本当にごめんなさい。


「そういや、兄貴…仕事終わってすぐ来たの?」


「あぁ、お前を殴ってやろうとな。はぁ…疲れた」


「明日も仕事だろ?」


「…今夜中に帰るんだ」


溜息を吐いて圭さんを睨む彼。

私は部屋へと走って荷物をリュックに詰め込んだ。


眠っているルーチェにさよならを言って彼の元へと向かった。


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