淡い色に染まるとき。
朝ごはんを食べ終わり、学校に行く準備をして車に乗った。

毎日、学校へと送っていってくれる。理由は色々あるらしい。

不審者に出会ったらどうする、もしお前が襲われたらどうする、何かあったら遅いんだぞ…と、迷惑かけたくなくて1人で登校しようとすると言われた言葉。

過保護だと思うけれど、心配して言ってくれているのだから仕方ない。


「今日もお互い頑張ろうな」


私は勉強を。彼は教えることを。


赤いランドセルをぎゅっと抱きしめて、彼の言葉を何度も頭の中で繰り返していた。

学校に着くと私はピョンと降りて彼に行ってきますをした。


「行ってらっしゃい。帰りは寄り道しない、防犯ブザーをちゃんと持つ。いいか?」


分かってるよ。大丈夫だってば。

大きく手を振るとにっこり笑って「分かればよろしい!」とふざけて言った。


「行ってきます」


行ってらっしゃい。

無理しないで、ほどほどに頑張ってね。


彼の車が見えなくなるまで見送った。


私も頑張らなきゃ。彼も頑張っているのだから、私だって。


もっと勉強して、恩返しするんだから。


私は校舎へ、友達の元へ走った。








< 7 / 144 >

この作品をシェア

pagetop