淡い色に染まるとき。
食べ終わる頃、彼がデザートと言ってプリンをくれた。

一緒に食べよう、彰さんもゴーヤーが食べ終わったらあげよう。


あと一口分のゴーヤーを残して「ごちそうさま」と言った彰さん。

彼が無理矢理口の中に入れようとするけれど、口を押えて吐きそうにしている。


「あと一口だぞ」


「その一口が無理。もう食えん」


「自分で持ってきたもん、残すな」


「やるよ、それ」


「俺は梓とプリン食うからいらない」



子供みたいな喧嘩を始める2人を見ながら、想像する。

彼らと両親の子供の頃のことを。ほとんど知らないけれど、きっとこんな喧嘩をしたりしてたんだろうな。


笑っていると恥ずかしそうにする2人。

きっとお母さんもこういうのを見て笑っていたんだろうな。


「お前のせいで笑われた」


「お前が食わないから悪いんだろ」


また始まる喧嘩を止めて、3人でプリンを食べることにした。

もう喧嘩しちゃダメだよ。一緒に食べながらそう伝えると恥ずかしそうに謝ってきた。


プリンも3人で食べればあっという間。


食器を片づけて、何をしようかと話し合うと、彰さんが私と彼を引っ張って外へ出ようと言った。

どこへ行くの?と聞いても「んー、すぐ着くよ」としか言わない。

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