淡い色に染まるとき。
しばらくすると、彰さんが立ち上がった。

少し目が赤くなっていたけど、私達はそれには触れず、墓地から出た。


「1人じゃ、きっと泣いてたかも」


無理矢理笑顔を作る彰さん。そんな顔しないで。泣きたかったら泣いていいんだよ。

彼が彰さんの肩に手を置いて、慰めていた。私も何か出来ないかと思い、手を繋ぐことにした。


お父さん、お母さん。こんなにもいい友達がいてよかったね。


「なぁ、学校行ってみねぇ?中学校か高校か大学」


「いいけど…梓、行きたいか?俺達の母校に行くんだけど」


行ってみたい。皆が見てきた景色を見てみたいの。


2人と手を繋いで、皆が通っていた母校へと向かうことに。


中学校、高校、大学へ行ってみると、彼らがお世話になった先生達が何人かいたみたいだ。


両親が亡くなったことを知ると寂しそうな顔をしていた。そして、私が娘だと知ると優しく頭を撫でてくれた。


体育の先生達に出会うと、必ず彼らの髪の毛をぐしゃぐしゃにしたり、プロレス技をかけたりしていた。


面白くて笑っていると、抱き上げられたり、頭を強く撫でられる。


「先生、勘弁してくれ…」


「相変わらず、弱いなぁ」


「先生が強いんだよ…はぁー、背中痛い」


「運動してるか?梓ちゃんも今のうちに体力つけといたほうがいいぞ」


腕の筋肉がすごくて触ってみると、笑いながらお腹の筋肉も見せてくれた。


彼らはこんなに筋肉なんてない。ちょっとついてるくらいだから、面白くて何度も何度も触ってみた。



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