淡い色に染まるとき。

♂信頼♀

『先生、私は本気ですから』



学校から帰って、留守電が入っていることに気付いて聞いてみると、女の子が震えた声でそう言っていた。

彼の生徒なのかな、何だか悲しそうな声だったな。


彼が帰ってくると、彼も悲しそうな顔をしていた。今、彼にこの留守電のことを話すのはマズイかな。彼をお風呂へ入るように言って、どうしようかと悩む。


もしかしたら、この女の子のことであんな顔してるのかな。

お風呂から出てきたら、言うしかないよね。


こういう時、声が出せたら彰さんに電話出来たのにな。相談に乗ってもらえるのにな。


しかし、今そんなことを言っても仕方ない。


彼がお風呂から出てきて、ごはんを食べている時に言うことにした。


『留守電があってね』


「…女?」


『うん。本気ですからって入ってたよ』


「…そうか」


『何かあったの?』


「最近、女子生徒達で流行ってる告白ゲームっていうのがあってな…」


先生達をからかって遊ぶ、告白ゲーム。

好きでもないのに告白して、反応を見てからかうという酷いゲームが今流行っているらしい。


それにお金が絡んできているということを聞いた彼が、全校生徒にそれらを止めるように注意をしたそうだ。

それでも、止まることはなく、彼のところにもたくさんの女子生徒が来て遊んでいたらしい。中には本気の子もいたけど、彼は大声で怒鳴ったという。


そのせいで1日中、色んな先生達がピリピリしている中、また1人の女子生徒が彼を呼び出して告白をした。


彼はまたかと思い、軽く注意をしてさっさと帰ってきた。

帰る途中も女子生徒が同じことをしてきて、虚しさが押し寄せてきたらしい。



「ちょっと…疲れた」



そう言って、溜息を吐いた。


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