淡い色に染まるとき。
どうして人の嫌がることを注意されても続けるのだろうか。

彼がこんなにも疲れているのはあまり見たことがない。


彼の頭を撫でてあげると、少しだけ笑ってくれた。


彼の疲れが少しでもなくなるようにと願いを込めて撫でる。そして、肩も揉んだりした。

毎日、お仕事お疲れ様。それとありがとう。


心の声が聞こえたのかな、笑顔で何度も彼はありがとうと言った。



「梓のおかげで明日も頑張れそう。明日もネクタイ結んでくれよ」



毎日ネクタイ結んでいるから言われなくても結ぶよ。

彼が先生の顔になる瞬間、ちゃんと見たいから。



『気持ち、伝わるといいね』


「あぁ、伝わるように俺も頑張らなきゃ」



久しぶりに彼と一緒に眠ることにした。

本当は、前から一緒に眠りたかったけど、彼が夜遅くまでお仕事をするから邪魔をしたくなくて言い出せなかった。


でも、彼が私とずっと一緒に眠りたかったと言ってくれた。じゃあ、今日から一緒に寝ようかという話になった。


「梓、寒い?」


頷いて彼の布団へと入り込む。彼の大きな手が私を包んでくれた。


「梓も大きくなったなぁ。前はもっと小っちゃくて、頬を赤くしながら入ってきたもんな」


そうだったっけ?成長したら色々と変わるものだよ。

彼の胸の中で目を閉じて思い出してみる。ここに来て最初の夜はすごく寂しくて彼のお布団に潜り込んでいたなぁ。眠るまで彼が優しく手を繋いでくれたっけ。


小学校に入って3年生くらいまでは一緒に寝ていたけど、彼の邪魔をしたくないから別の部屋で寝ることにしたんだよね。


…本当に寂しかったなぁ。


そんなことを思いながら、私は眠ってしまった。


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