淡い色に染まるとき。
【恭】目線


「おはよう、先生」


「おはよう。おい、化粧濃いぞ」


「今日は彼氏とデートなの。これくらい許してっ」


梓を小学校に送って、昨日の事を色々と考えていた。どうしたら俺の気持ちは伝わるのだろうかと。

挨拶をしながらそんなことを考えていると、昨日の放課後に俺に告白してきた生徒がやってきた。


「先生、おはようございます」


「あ、あぁ。おはよう」


「…遊びなんかじゃないですから。本気です」


「…遊びじゃなくても…すまない」


「これから好きになってもらえるよう頑張ります」


そう言って、走り去ってしまった。

俺の担当しているクラスではないから、名前が分からない。

後で他の先生に聞いてみるか。彼女のリボンの色を覚えて、職員室へと向かった。


しかし、今日も朝からピリピリしている職員室。

正直言うと、入りたくはない。先輩に八つ当たりされるかもしれないし、何よりこういう空気はとても苦手だ。

こういう時、梓がいてくれれば…なんて考えて職員室に入る。


「おはよう…ございます」


何故か数人だけしか教師がいない、どういうことだ?

今日は何かの朝会か会議でもあったか?いや、それなら昨日のうちに…。

隣の席の数学教師の田崎先生に聞くことにした。


「あの、何でこんなに人が少ないんですか?」


「最近、あの遊びが酷いでしょう?昨日、古市先生が帰った後、また始まったみたいで…教頭先生が怒鳴って保護者にその…言っちゃったみたいで。今、保護者達が押し寄せてきてるんです。所謂、モンスターペアレント達が。なので、ほとんどの先生達が対処しているんです」



…何てこった。まさか、朝からそんなことが起きているとは。


どうして俺には連絡がなかったのかと聞いてみると、お子さんが小さいのに無理なんてさせられないの、と言われた。


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