淡い色に染まるとき。
後から先生と彰さんがやって来た。2人が来てもずっと離れなかった。

お医者さんが入ってきた時だって、絶対に離れようとはしなかった。


「ストレスが随分溜まっていたようですね。疲れも酷かったようですし…」


学校のことだ、疲れた顔していたんだもの。辛そうで悲しそうだった。

もう学校なんて…と伝えようとしたが、彼が嬉しい報告があると言ってきた。


「あのな、やっと解決したんだ。もうあいつらはあんなことしないって」


本当に?口約束なんかじゃないよね?

何度も何度も確認すると、嬉しそうに頷いた。そっか、じゃあ悩みの種はなくなったんだね。


それでも、私の中では少しだけ許せないの。ここまで追い詰められていたことを。

遊びで彼をここまでボロボロにさせた人達を許せないの。でも、そんなこと彼に言ったらきっと悲しい顔をするから黙っておくよ。


彰さんはまたゴーヤーチップスを彼に押し付けて、先生は安心した顔で私達を見ていた。


「すみません。ご迷惑おかけして…」


「いえ。良かったです。じゃあ、梓ちゃんはこのまま早退したほうがいいよね?お父さんといたいでしょ?」


大きく頷くと、笑顔で私の頭を撫でて出て行った。


ありがとう、先生。ここに連れてきてくれて。


「そうだ。梓、俺は一週間入院になるんだが…その間、圭に来てもらうことになったんだけど」



「弟か。俺が預かりたかったんだけど、仕事があってな…ごめんな」



「いや、いいんだ。圭がこっち来るって言ってたし。頼もうと思ってたんだ」


圭さんが来るの?じゃあ、お部屋片づけておかないと。


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