淡い色に染まるとき。
色々と考えていると、看護師さんが面会時間終了ですと言った。

私と彰さんは彼に手を振って帰ることに。


「梓ちゃん、家に行く前にあいつの学校寄っていい?荷物置いてきたって言ってたからさ」


そういえば、彼のバッグにお弁当箱入れたから…放っておいたら大変なことになっちゃうね。

急いで彼の学校へ行くことに。


学校に着くと、悲しそうな顔をしている生徒達。

彰さんと手を繋いで中に入って、事情を説明すると職員室へと案内された。


職員室の中も、異常なほどにどんよりしている。どうしたんだろう。


中にいた先生達にも説明すると、彼は大丈夫なのかと質問責めにあった。


「一週間入院になったんですが、元気なのでご安心を」


彼の隣の席の女性の先生が立ち上がって、私を優しい目で見た。



「お父さんね、今日すっごく頑張っていたのよ。本当に辞めちゃう勢いだったんだもの。驚いたわ」


『本当に、皆は酷いことをやめてくれたの?』


「えぇ。ちゃんと皆、分かってくれたのよ。お父さんのおかげよ」


良かった、本当だったんだ。

ありがとう、と伝えると私と彼にとお菓子をくれた。

手作りのクッキーと高そうなチョコレート。


「このクッキーは、反省した女の子達から貰ったの。泣きながらお父さんに渡してほしいって」


じゃあ、このクッキーは彼が退院したら渡さなきゃ。

お礼を言って、彼の鞄を持っていこうとすると、小さく折りたたまれた紙が落ちた。

拾って見てみると、文字もとても小さく書かれていた。


『いつまでも待ってます』


…これって。



「梓ちゃん、行こうか?」


彰さんに手を引っ張られ、手紙を落としてしまった。

拾うことも出来ず、引きずられるように廊下へ出てしまった。


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