淡い色に染まるとき。
食べ終わると、圭さんとトランプで遊んだり、絵を描いたりしてくれた。

お布団を並べている時も、ふざけて遊んでいた。

そして、圭さんは私が退屈しないようにと眠るまで面白い話をしてくれた。

彼の子供の頃の話がとても面白かった。今度彼にも聞いてみよう。


「俺もここに住みたいなー」


『居心地いいの?』


「ああ。梓といると癒されるっていうか」


『私も』


圭さんのおかげで寂しくないよ。彼がいないときっと不安と寂しさで押しつぶされるって思ってたけど、そんなことなかった。これも圭さんのおかげ、ありがとう。


『眠るまで手を繋いでくれる?』


「あぁ、いいよ」


大きな手が優しく握ってくれる。握り返して目を閉じる。


今日は何だかとても疲れた気がする。目も少し痛いし…彼はもっと疲れているのに。


ゆっくりゆっくり夢の中へと落ちていく。


今日はお父さん達来てくれるかな…話したいことがあるの。


しかし、夢というものは、自由に選ばせてはくれない。


暗闇に飲み込まれそうになる夢ばかりを見てしまう。飛び起きて隣を見れば、彼によく似た圭さん。疲れていたんだろう、ぐっすりと眠っていた。


痛む胸を押さえて、目を閉じる。


何度も何度も飲み込まれる、怖くて必死に逃げるけど結局は追いつかれてしまう。


眠ることは出来ず、圭さんの手をぎゅっと掴んで朝を待った。


圭さんに眠れなかったことを言えなくて、早く起きちゃったと誤魔化した。


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