淡い色に染まるとき。
翌朝、私が彼のネクタイを結んでいる時、インターホンが鳴った。

彼は準備をしなきゃいけないから、私が出ることに。

急いで玄関へ向かい、扉を開けると昨日の女の子が立っていた。


「あ…あの」


昨日、私は姿を見せなかったから驚くのも無理はない。

どうしようかと悩み、女の子を見上げる。彼を呼んだほうがいいよね、きっと嫌な顔するだろうけど。


彼のところへ戻り、あの女の子が来ていることを伝えると、やはり嫌な顔をした。


「マジかよ。梓、ちょっと待っててくれ」


玄関へと向かい、ポカンとしていた女の子に静かに怒り始めた。



「こうやって家に来られるのも迷惑なんだ。昨日も言ったろ?」


「こうでもしないと、私のこと…」


「本当にやめてほしいんだ。うちには子供もいる、あまりこういうことをしないでくれ」


冷たいことかもしれないけれど、これは女の子の為にも言ってるんだと思う。

噂にでもなってしまったら、辛いのは彼だけじゃない、女の子も色々言われるだろう。


彼は女の子が無事に卒業してほしい、変な噂でも流されれば、女の子の進路などに悪影響を及ぼすからって。


「内海、気持ちは嬉しい。でも、今は大事な時でもあるんだ」


「分かってます。でも、でも…」


女の子が泣き出してしまった。朝だから近所の人達も通る。玄関でこんなことをしているんだ、見られるかもしれない。


私は2人の腕を引っ張って中に入れた。


「…もう、学校行かないとな」


彼が私の頭を撫でて車の鍵を持つ。女の子に早く学校へ行きなさいと言って肩を叩いた。


女の子と一緒に外に出て、私達は車へ。女の子は涙を浮かべながら彼を見ていた。



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