純情のち、S彼氏
「やめてっ。触らないで」

「何言ってんのー…」

祐樹から伸びた手を、誰かがパシッと掴んだ。

「嫌がってるみたいなんで」

誰かが強い口調で言う。

その顔を見ると。

「立花…君…」

「誰?新しい彼氏?」

祐樹が立花君の手を振り払いながら馬鹿にしたような口調で言う。

「ひっこんでろよ、チビ」

祐樹の手がもの凄い速さで立花君に振りかざされた。

「立花君!!」

祐樹は、空手をやっていた。

立花君でも、止めきれないー…。

ギュッと目をつぶった。

けれど、なにも起こらない。

そっと目を開けたら、立花君が祐樹の腕を掴んでいた。

「っ、チビっ、離せっ!」

「このまま帰るなら離します」

「帰るから、離せよ!」

立花君が祐樹の腕を放した。

よほど痛かったのか、祐樹はそそくさと去っていく。
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