純情のち、S彼氏
祐樹が来た時。

私の好きな人は誰だろうと考えた時に浮かんだ顔。

その顔は、立花だった。

その時には、もう私はー…

立花に恋してた。

「あ、やべ」

立花がつぶやいたのと同時に、先生が教室に入ってきた。

「授業始めるよー」

先生の声と共に鐘が鳴る。

「あれ?櫻井さん、教科書は?」

先生に言われてやっと気付いた。

「あっ、忘れました!」

あーあ、とため息を尽きながら前の席の立花を見る。

立花の机の上に、教科書はない。

「カウンターで借りてきなさい」

先生に言われ立ち上がる時立花と目が合った。

まるで、「俺バレてないラッキー!」みたいな顔をする。

(なるほど。立花も忘れたんかい笑)

「せんせー、立花君も忘れたみたいですよ」
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