純情のち、S彼氏
カウンターに着くと、立花がだるそうな声を出す。

「せんせぇー、英語の教科書貸してくださいー」

「あーはいはい、教科書ね、ちょっと待ってて」

先生がカウンターの奥に消える。

「てか櫻井ー、堂々とチクるなよ笑」

「あはは笑」

しばらくして、カウンターの奥にいた先生が教科書を持ってきた。

教科書を立花に渡しながら先生は言う。

「一冊しかなくて。もっかい探してくるから、櫻井さんは待ってて?」

ちぇ。ま、いっか。

「はーい」

先生がまた奥に消えた。

「…?立花、行かないの?」

「…授業さぼれるし。一人さみしーじゃん笑」

…っ、立花…。

どれくらい私を溺れさせるの?

先生が戻ってきた。

「あら?立花君まだいたの?あ、櫻井さん、やっぱり見つからなくて。2人で見て。ごめんなさいね」

「だってさ。いこーぜ」

立花の後に続いて教室に向かう。
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