アンジェリヤ

 綾は、とある作戦に出た。二人で撮った写真を見せて順の家を探そうというのだ。相手にとっては迷惑で、押し付けがましいことかもしれないが、それぐらいしかまたあう方法が見つからなかった。もしかしたら、その行為が原因で嫌われるかもしれない。そう思いつつ、それをとめることはできなかった。
 まずは、同じクラスメイトにたずねることにした。まずは、仲良しグループの女子。彼女たちは口をそろえて知らない、と言った。その中に一人だけ、反応を示した女子がいた。彼女は言いずらそうにおずおずと話し始めた。
「多分、亜麻中学校の、沢渡順だと思う。私のいとこの、親友」
 彼について知っている情報である、順という名前が一致してした。多分、間違いなく本人だろう。
 しかし、彼女はなかなか先を言いたがらない。不思議に思い、「何かあるの」と問いかけた。
「たしか、卒業旅行先で事故にあって、ニュースになってたよ、私たちの受験中に」
 頭が真っ白になった。事故。だから彼は入学式に表れることができなかったのか。怪我をしていたことを理由に受験に失敗したのなら、たしかにそれはいいタイもないし、心配をかけてしまうのもわかってしまうだろう。
 だけれど、その後、通うことはできるのではないのだろうか。彼はぴんと背筋を張っていたし、足だってまっすぐ前を歩いていた。今の彼は健康な人間そのものであるといえよう。
「なんで、それを隠したの?」
「私には、わからないなぁ」
 彼女は視線をそらして答えた。絶対に何かある。そう思い、綾は図書館に向かうことにした。図書館には使用フリーのパソコンがある、そこで調べればよい。


< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop