誕生日は残業


「今日誕生日だろ、おめでとう。
ほんとはこんな夜中じゃなくて、今日の仕事終わりにでも渡したいと思ってたんだけどな。」


なんて言って、いい香りのする、その花束をあたしに向けた。

心なしか、日野さんの頬もあたしと同じで赤くなっているように見える。


「あたし、誕生日が今日なんて、一言も言った覚えはないのに…。」

驚きと、嬉しさとが入り交じって、涙腺が崩壊寸前なんですが。



少しの沈黙の後。

「…入社1年目の研修後の飲み会で言ってた。」

と言って、日野さんは目線を少しそらした。



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