誕生日は残業
「な、なんでそんな前のこと、覚えてたんですか。」
そんなあたしの問に、日野さんはもう一度しっかり目を合わせると。
「そんなのずっと、好きだったからに決まってる。
いつも頑張っていて。
強がりで、弱音をはかなくて。
あまり笑顔は見せないけど、ときどき微笑んだときには、めちゃくちゃ可愛くて。
上手に甘えられなくて、無理ばっかりしている古見井を守りたいと思った。
だから、俺のことを上司としてでもなくて、同期としてでも、なくて。
ひとりの男として見てほしい。」
そう言いきった日野さんは、とても輝いて見えて。
これはきっと、月明かりのせいだけじゃないと思った。