誕生日は残業
「ほら、手伝ってやるから書類くれ。」
「いや、でも…。」
そんな優しさにも上手に甘えられなくて、渋っていると。
「係長命令。書類を渡しなさい。」
言葉は厳しいのに、表情は優しくて。
さっきから心臓がうるさい。
すいませんがよろしくお願いします、と少し赤くなった顔を隠すため俯きながら書類を渡す。
「ん、あと少し頑張るぞ。」
書類を受けとると、日野さんは微笑み、係長席に着いて、パソコンを立ち上げた。