幼馴染、マネージャー、恋人。
「何?」

それはさっきまで
練習を頑張っていたアイツ

「お疲れ、もなしかよ」

「はぁ?」

いや、だってねぇ?
岡村さんと話してたし

「お疲れ」

そっけなく言ってみる

本当は久々に
話しかけてもらって嬉しいクセに

「今日…「大谷?」

誠と階段の下に居たらしい
山崎の声がかぶった


「今、行くー!じゃあね」

最後のは誠に向かって

本当は、今日…何?

その言葉を聞きたかったけど
すねていたかった


「じゃあな」


誠の声が階段の上から聞こえる


その声を聞かないように私は猛ダッシュで階段を駆け下りた

「お疲れ、誰か居たの?」

「うん、塚田とたまたま会った」

「ふーん」

興味なさそうに相槌を打って山崎は
靴を履いて歩き出した

「山崎、待って!」


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