どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


佐野くんが私を呼んできた。


わざわざ教室から出て私を呼ぶから

何だろうと思っていると


「これ、さ」


「あ、私の教科書」


佐野くんは深刻な顔して私の国語の教科書を持っていた。


「ちょっといいづらいんだけど

ゴミ箱にあったんだよね

落としたとかじゃないよね?」


「落としては……ない」


仮に落としたとしても、

名前の書いてある教科書をゴミ箱に入れる人はあまりいないだろう。


と、なると……だいたい見当はつく。


最近よく女子達と目が合う。
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