どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


「そういうのウザい。

つか、まずちゃんと本人に謝ってから言えば?」


いつも眠た気な彼からは想像も出来ない表情。

こんな男の子らしい表情をするんだ……。


少し、怖いけどそれが愛しいって思う。

その感情が好き、ってことなのかもしれない。


「「「ま、松山さん、ごめんなさい……」」」


3人は星野くんのその表情に焦りながらも一斉に謝り、


私の返事を聞かずクツを置いて逃げて行った。


「ちっアイツら……逃げやがって」


「もういいよ、見つかったし安心した」


床に落とされた上履きを星野くんは拾って

私の足の前に差し出す。


「はけよ」


その様子は、

シンデレラがガラスのクツを合わせる時のようだった。









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