どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


「なんで?」


「あ、いや~なんか昨日の翼なんかぼけーっとしてたからよ

アイツと会ってる時も……っていや、

そう、とにかくぼけっとしてたんだよ」


私は、星野くんがぼーっとしていた事よりもときどき話に出てくるアイツが気になってしまって仕方なかった。

やっぱり星野くんの彼女なんだろうか。


「昨日は特に何もないよ」

傷つきながらもバレないようにウソつくと


「だよな、気のせいか」


佐野くんは笑う。


それからずっと頭の中はアイツと呼ばれる人のことでいっぱいだった。


見えない存在の人なのに、

その人が私の中で大きくなっていく。


恋っていうのはいい事ばかりではない。

星野くんの彼女かもしれない人を想像して苦しくなって

嫌になっていく。










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