どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


「そ、今日は誰もいないのさ~

心ちゃんも理沙ちんにフラれたんだろ」


「うるさいな」


口を尖らせて歩けば、さっきまで沈んでいた気持ちが少し明るくなる。


隣に明るい人がいるってだけでも違う。


人は人に影響を与えてくものなんだってつくづく思った。


「星野くんはいないの?」


「あーあいつはまた先帰ったよ~

最近忙しそうでさ」


そうなんだ……。


モヤモヤした気持ちはまた、簡単に生まれ出す。


「せっかくだしさ、このまま遊ん……おっ、おーい!」


話の途中で、誰かに気付いたのか手をふる佐野くん。


私もその視線をおいかけて見れば


「翼~!」



そこにいたのは星野くんだった。







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