どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて
「これ、欲しいんだけど」
「え」
ポーカーフェイスでそんな事を言ってくる彼はきっと
気付いていた。私が欲しいって思ったこと。
「いい、の……?」
「何が?俺が欲しいって言ってるんだからいいんじゃね?」
ウソつき。
だってこんなの全然星野くんのキャラじゃない。
それなのに、私の分と自分の分を持ってレジに向かう。
「あ、待っ……星野くん」
慌ててレジに向かったら、もう星野くんはお会計を済ませた後だった。
「お金……」
「いらない。
けど、恥ずいから付けろよ」
紙袋を開け、星野くんもカギに付けているのを見る。
そしたら私も今すぐに付けたくなった。