どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


「ここだよ、バーカ」

彼はそうささやいて、私についていた米つぶを取った。


「あり、がと」

なんか、今のかっこ良く見えた。

いつもの倍くらい。


少し顔が赤くなりながら、彼を見つめていると

彼は一瞬目を逸らしてから私を見る。


すっ、と伸びてくる手が頬に触れると私は自然と目を閉じた。


「………んっ、」

触れるみたいな、柔らかいキス。

それがなんだか彼と合っていて好きだ。


幸せ。

その言葉は心がすっごく満たされた時に出る言葉な気がする。


「照れるな」

「うん……」


彼を近くで感じることのできるキス。


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