どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて
*なくしもの
「心ちゃん~見てこれひどくねぇ?
理沙ちんに似顔絵って落書きされた」
朝から佐野くんが見せてくれたのは
理沙のへたっぴな絵が書いてある佐野くんの手。
「ふふ、変なのっ
似てるかも」
「似てねぇよ、俺こんなサル顔してる?」
佐野くんの言葉に私は吹き出した。
一通り笑うと佐野くんは突然
「心ちゃん元気?」
なんて聞いてくるから、私は目を大きくあけた。
「今日ちょっと元気なくね?」
そっか、こういうのに気付いてくれる所だ。
部長になれたって。
「別に何もないよ~
さすが部長さん、色んな所見えてますな」