どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


そう思って一度、立ち上がる。


すると、

チャリンー


「え……?」


金属の音がしたと思ったら、それはポケットから床に落ちた。


「あ、これ……」


「心ちゃん、やっちゃったんじゃねぇの?」


落としたキーホルダーを佐野くんが拾ってくれて私は言う。


「ごめんなさいっ!!」


まさかポケットに入ってたなんて……。


「ぷは、せっかちだな~」

「ごめん本当」


「まぁ、話しも出来たしいいじゃん」


けらけらと笑いながら立ち上がる佐野くんにお礼を言って

この日は一緒に帰った。
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