どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


さっき買ったお菓子を渡して

出されたイスに座っていると

星野くんと彩花ちゃんが話を進める。


その話は分からないことばかりで入っていけなかったけれど

私は黙って聞いていた。


時折、彼女が咳き込むと

背中をさする星野くんを見て胸が痛んだ。

星野くん……、いっつもこんな感じなんだ。


気にしちゃいけないのに気になってモヤモヤする。

ダメだなぁ、私。


すると


「ねぇ、翼

私オレンジジュース飲みたいな

下の自販機で買ってきてよ〜」


彩花ちゃんが言った。


「ワガママだな、お前」

「いいでしょ〜飲みたいのー!」





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