どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて
その苦しさから逃げるように
走って屋上に行こうとしたら途中で
私は後ろから腕を掴まれた。
「星野く……」
これでもやっぱり期待して、後ろを振り向く。
「心ちゃん……」
ーー違う。
私の手を掴んだのは
星野くんではなくて、佐野くんだった。
運命の王子様。
おとぎ話は素敵過ぎて残酷だ。
夢を見てしまう。
素敵な王子様はきっと私を迎えに来てくれるんだと
期待してしまうからー。