どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて
考えればちゃんと分かるんだ。
「佐野くん……私、ちゃんと話してみる」
「うん」
いつも王子様が救ってくれる
そんなのは甘えでしかなくて、
現実は童話みたいに夢のあることだけではないから
そりゃ、うまくいかない時もある。
だけど大好きだって思うから
誰かの言葉で自分を変えられる。
「涙拭きなよ」
「うん」
差し出されたタオルは今度は私のものではなくて
しっかりと佐野くんのものだった。
「こんなにさ、たくさん泣いてたら
心ちゃん泣き顔のプリンセスだよ」