どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


私には、そんな資格ないよ……っ。

だって彼に……ヒドイ事したから。


「無理なんだよ、俺……っ、」


佐野君の手は震えていた。


そして力強い目。

その瞳はどこかで見たことがあるような気がした。



「好きな人が……

こんなに傷付いてるのを見るのは……っ

無理なんだ」


辛そうな顔をしている佐野くん。


いつも彼は私が辛い時、側にいる。

抱きしめられる手が温かい。


思い返せば、けっこう不思議に思うことはあったかもしれない。


「ごめんな、こんなタイミングで言って

本当は自分の気持ちに気付いた時

一生隠しとこうと思ってたんだ」
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