どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて
部屋のドアに向かって歩き出した瞬間
ひゅっ、という風の通る音がした。
小さい頃それをよく聞いたことがある。
母親と同じ、そうあれは発作の音。
「や、……つばさ……」
俺は慌ててふり返ると、そこには呼吸ができなくて
倒れこんでいる彩花がいた。
「彩花!彩花!」
慌ててナースコールを押して
そこから慌てて医者が入ってきて俺は外に出された。
その間、一度もデートの事を思い出されることは無かった。
「キミは彩花さんと一緒にいた子だね」
どのくらい時間がたったのか分からない。