どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


ドキンー。


そう、神様っていうのは意地悪だ。

あんなに見ないようにって、

彼への恋心が戻ってこないようにって対策を立てたのに

彼は今、私の目の前にいるのだから。


「悪りぃ」

ドキン、ドキン、ドキン


彼の声が私の体に流れこむ。

声を聞いただけなのに、

たった一言だけなのに

それはひどく懐かしく、私の心にすとんと落ちる。


抑えていた感情、悲しみ。

彼を好きだと言う気持ち。


2週間かけて彼を忘れる努力をしたのに

それは一瞬にして戻ってくる。


ズルいよ、恋ってズルいよ。


好きになるのは簡単なのに、

簡単に好きじゃなくなることは出来ないの。
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