どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


こんなのってズルすぎる。


「…………っ」


私はとっさに、教室を出た。


「心ちゃん!」


遠くで佐野くんの声がする。

だけど、私はそれを無視して必死に走った。


やってくる恋心

走ったってそれは私の心にあるから

逃げ切れるわけないのに


私は頑張って走って逃げた。


「はあ……はあ」


やって来たのは屋上だった。


ぎゅっと手すりを掴んで目をつぶる。


彼が好きだ。全然嫌いになれてない。


「心ちゃん!!」


すると、佐野くんは私を追いかけてやってきた。


「大丈夫……?」

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