どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


それが恋なんだと理解したのは


心ちゃんが悲しんでいる時


俺まで悲しくなったから。


その恋が加速したのは


『心ちゃんには他にいるでしょ?

ほら、渉だっているじゃないっ、あいつなら顔もいいし

性格だって悪くないでしょ?』


偶然入ろうとした病室から


『彩花ちゃん、そんな風に言ったら佐野くんに失礼だよ

佐野くんは素敵な人だよ、アイツでもいいなんて言っちゃダメ』


こんな言葉が聞こえてきたから。


その恋が無理だと分かっていても

消せなかったのは


いつまでも彼女が悲しい顔をするからだ。

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