どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて
星野くん……
なんで、ここにいたの?
その場に残った星野くんの香りを
私は無いものだと考えて、夢の中の話だったんだと言い聞かせた。
「心ちゃんっ」
目の前をぶんぶんと手で遮られてはっと我に返った。
「またぼーっとしてた」
「あ、ごめん……!つい」
今は佐野くんと一緒に帰宅中だ。
彼は私が寂しい顔をすると、必ず一緒に帰ろうと言って
私を笑わせてくれる。
最近はクラスの子に佐野くんと付き合ってるの?
って聞かれるほど、彼と一緒にいる時間が長かった。
「ねぇ、今日……佐野君」
「ん?」
「告白されてた、後輩の子に!」