どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて

「もう、いいんじゃねぇかな？

翼を諦めるために俺を使ってくれても」


諦めるため、佐野くんと付き合う……？


「俺は全然それでいい」


たくさん泣いた。

いっぱい傷ついた。


だったらもう

いいじゃんか。


星野くんのこと、考える意味はない。


終わったんだ、私たちは

もう終わったんだ。


私は、佐野くんの背中にすがりつくように

手を回した。


彼はもう、私を見てくれない。



だったらもういい。

もう、流れてしまう。


楽な方へ、

自分が好きだと言ってくれる人の方へ。


「心ちゃん、好きだよ」


彼に応えるようにぎゅっと、抱き着いて