どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて


私の呆れを気にもせず理沙は楽しそうに言った。



「で、どうだったのよ?」


「どうって別に……普通だったよ?」


「カッコイイな~とか思ったりときめいたりとかしたんじゃないの~?

なんたって学年1の王子様だよ!

何も思わなかったなんてあり得ないっ!」


さっきまでの小さな声とは逆に興奮して大きな声になる理沙ちゃん。

最初から話を聞いてる人にはバレちゃうんじゃ……と思ったけど、周りにはあんまり人がいなかった。


「カッコイイなぁとは普通に思ったよ

ときめきも……あったのかな?」


「何その曖昧」


「ときめきとかよく分からないんだよね」


正確にはどれが普通の感情なのか分からないって感じかなぁ。





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