どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて
そして、午後の授業を受け終わった放課後
私と星野くんは先生の言った通り数学準備室に向かった。
「失礼します」
「お~ちゃんと来たな
今回お前らには次の授業で使う教材のホチキス止めをしてもらう」
「はーい」
気だるげに返事をして、その教材を持ち教室に戻ると
私達は誰もいなくて静かになった場所で作業を始めた。
カチャ、カチャとホチキスの音が響く。
もともと無口な星野くんは作業中あまり話をしないけれど
私はその空間も心地よかった。
「お前さ、」
「ん?」
ふと、星野くんが疑問をなげかけてくるから耳を傾ける。
「渉のこと励ましたんだ」
「ん?佐野くんのこと?」