クピドの窒息
 


坂田の部屋を出る前に、勉強机に置かれた卓上カレンダーを手に取って。

一枚一枚、めくっていく。

6月で止まった坂田の時間。
あの二人が付き合い始めて、まだ4ヶ月。
もう、4ヶ月だ。

私たち、うまくいかないね。
色々なことがうまくいかない。
うまく、できない。
でも。


ねえ、もう進もう、坂田。
私も進むから。

私もちゃんと、吹っ切るから。


カレンダーを10月に直して、色褪せたクマを鞄から外してごみ箱に捨てた。
そして一言も発せずベッドに腰掛けていた坂田に近寄り、その身体を抱きしめる。

黙って私の背中に腕を回してきた坂田は、息を潜めて泣いていたのかもしれない。


 
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