クピドの窒息のレビュー一覧
平均評価星数
5.0
2016/10/27 20:22
投稿者:
汐見 夏衛
さん
天使はきっと泳げない。
「天使はきっと泳げない。」という一文で始まる作品。 この一文に目を惹かれた人は、読んだらきっとぐいぐい心まで持っていかれることでしょう。 クピド=キューピッド。 ずっと好きだった幼馴染。その恋のキューピッドになってしまった天の邪鬼でお馬鹿な女の子の、絶望から再生への瞬間を鮮やかに切り取った短編小説です。 とても切なくて、ドロドロしてて汚れてて、それでいて爽やかで清らかな。 一粒で色んな味が楽しめる素晴らしい作品でした。 ぜひとも読んでみてください!
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2014/08/21 03:47
投稿者:
秋野桜
さん
クピドの窒息
天使は泳げない。 青い空の飛び方は知っていても、青い水の泳ぎ方は知らないから。 深みに溺れ、沈んでいく。 だけど、もがいた末に気付くものがある。 清らかな羽は濡れて使えなくても、新たに得たものがあるはず――。 傷を舐め合う二人は、ある意味似た者同士なのかもしれない。清らかさを欲したけど、それを上手く得られなかったのかもしれない。 好きだけでは叶わない恋がある。それでも簡単には諦められない。 その末に辿り着いた、恋の難しさや醜い部分。 二人はそれを知り得たからこそ、時が刻まれていくことを知る。 どんなに虚しく思えた時間のループにも、抜け出す方法があることを知るのでしょう。 きっとまた、清らかな空を飛ぶために。 濃密な世界観に圧倒されます。ぜひご一読を。
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