ジュエリーボックス
(美月にまで嫉妬なんて…馬鹿みたいだな、私)
自嘲して、俯く。再び漏れる細い溜め息。
(他の子に優しいその半分でも、私にも優しくしてくれたっていいのに)
割と女々しい思考に、自分がまた嫌いになる。
私の不機嫌MAXな仏頂面に悠介が笑いを堪えているのを見て、唇を尖らせて変顔を造ってみせた。
「これでいいだろ…あー、頭使ったら疲れた」
「ありがとう頼人!こういう時"だけ"は頼りになるよねー」
「"だけ"は余計だっつーの!褒められて伸びるタイプだから俺は」
「よっ、頼人!天才!」
「逆にわざとらしいってー」
賑やかしい部屋の中で、まだ少し悶々とした気持ちを抑えて笑う。
胸の動機が、いつもより少しだけ速い。
(…私も美月みたいに素直で可愛かったら良かったのにな)
甘い服も、長い髪も私には似合わない。心の中で呟く情けない内容に、背凭れにと寄り掛かったベッドが、きい、と啼く。
…片隅にある想いには、蓋をしなくちゃならない。
だって、頼人も美月も大事な"幼なじみ"だから。この関係を壊したくなんかない。
(…らしくない事ばっかり考えるようになっちゃったな、私)
私がコンプレックスを乗り越える強さを持てるのはきっと、もう少し先だ。
もっと強くなりたい。
もっと素直になりたい。
もっと優しくなりたい。
もっと…素敵な自分になりたい。
誇れる自分になりたい。
思いながら、目を閉じる。
──弱い自分に、勝ちたい。