ジュエリーボックス


「本当に面白いよね、あの二人。漫才見てるみたい」

「私、ファンになっちゃった!」


…聞こえた不吉な言葉に身震いをしつつ、私は小川のせせらぎを想い浮かべながら無心でバイトの求人を探す為、携帯を弄る。


「検索、検索…と」

「お前どこでバイトすんの?」

「んー、倉庫作業とかでいいかな。私接客とか多分向いてないし」

「うっわ、暗っ。倉庫!?」

「うっるさいな、アンタもバイト探すんでしょーが」


頼人が喋る度に、ぴこ、ぴこ、とオモチャハンマーが大活躍を果たす。

その都度、ギャラリーに向かって大袈裟に痛がる仕草をする目の前の男。


「俺も倉庫にすっかなー」

「ちょっと。あんたと同じとこだけは避けたいんだけど」

「同じ事思ってる」

「気が合いますねー」

「なー、生徒会入ったけど幽霊部員じゃねぇの、俺達」

「そうだよね…言えてる」


…このやる気のなさと責任感のなさ。私と頼人は明らかに人選ミスだ。

…先輩達に土下座をする未来も近いかもしれない。


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