ジュエリーボックス
戸野先輩曰く、この世界と反地球を行き来するうちに解った事。
反地球とこの世界の自分は性格は違うけど、歩んでいる運命は大体同じ──…つまり、"他次元で同じような生活を送る自分が存在している"という。
だけど性格が違うから、人間関係は多少違う事もあるらしい。それが相互に影響し合っている、と。
「ここまで棋士くんも藍川くんも性格が違うなんて面白い、興味があります」
「…"俺"もいるんだ」
「別次元では、藍川くんは棋士くんをいじめるぐらいの不良みたいですよ」
「いじめ…!?信じらんねー、俺そんなに性格悪いの!?」
聞かされた内容に、一同がまた驚愕する。
…ああ、だからさっき、弱々しい悠介は頼人をあんなに怖がってたのか。変に納得。
「あ、あの…俺、イチゴオレ飲みたい。そしたらアッチの世界に帰れるかも…」
「なんだそりゃあ!」
「ギャグかって!」
「はい二点!」
ぴこ、と頭を叩いて、思わず私まで弱い悠介に突っ込んでしまった。
なんだろう、この不可思議な状況は。…もう一人の悠介は面白がって楽しんでいるみたいだけど、自分が二人いるなんて恐ろしい。
同じ人が二人なんて、まるでSF映画や漫画の世界だ。