ジュエリーボックス


「ねえ、あの二人すっごいお似合いじゃない?」

「美男美女!」


廊下を歩く度に、抜けて目立つ容姿端麗な二人。

勿論、私と頼人の事ではなく、如月美月と棋士悠介。

長い睫毛、少しウエーブがかった柔らかそうな髪。絵画に書いたような美人、美月。

対して悠介は甘い瞳に、すっと通った鼻筋。昔から幅広い年齢に好かれるアイドル系。

…二人を見たら現役モデルも真っ青だと思う。

それなのに…あまりに気取らな過ぎる性質の二人だ。


「みんな同じクラスで良かったよね!さすが我らが"チーム宇宙"!」

「そうそう、宇宙は大事だからな!」


周りの行き交う人々から飛び交う好意にも、本人逹は自覚無し。

小さい頃から天然な美月と、単細胞な悠介。


「お前ら、そうやって華々しく高校デビューしやがって…!俺とブス眼留がどんな惨めな思いしてるかわかってんのか!」

「自虐ネタうるせーんだよアホライ!ブスで悪かったね!」

「いって!怪力女!」

「ヘタレ男!」

「マジ痛ぇ!ギブギブ!」


私達の通常は、とても賑やかだ。

美男美女の傍らで毎日恒例の喧嘩を始めるお笑い系の私、愛瀬眼留と、自称雰囲気イケメンの藍川頼人。

…「チーム宇宙」というのは、小五の時に担任だったカトウ先生が命名してくれた。

私逹が昔から、四人でひとつという証。



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